1. 講演 「自転車の交通事故とその責任」
講演は、(1)増加傾向にある自転車事故の実態について (2)自転車の交通ルールについて (3)自転車の加害事故における賠償について の3点を中心に解説された。解説のポイントは以下のとおり。
(1)自転車事故の実態については、交通事故が減少傾向にある中、自転車事故による死傷者の割合が欧米に比べて極めて高い。(2)交通ルールについては、自転車は軽車両で車道走行が原則。交通ルールも自動車と同じ扱いになる。(3)自転車も加害者になれば、高額の賠償義務を負うことになる。そのための対策として賠償責任保険がある。など、資料に基づきわかりやすい解説がされた。
参加者からは、「自転車事故の実態が理解できた」「自転車の加害事故の賠償額が高額になることに驚いた」「生徒たちには自転車のマナー(ルール)を守るよう指導していきたい」との声が寄せられた。
2. 講演 「自転車を巡る新しい波」
講演は、意識の「慣性」(イナーシャ)が支配する日本の交通政策について、日本にしか見られない矛盾点を画像で具体的に示したり、欧州との比較を行いながら、わかりやすい説明がユーモア交えてを解説された。解説のポイントは以下のとおり。
日本の場合、「車道と歩道を柵や植栽で分離することが安全」と思い込んできたが、それが死角を生み、交差点での事故の大きな原因となっている。欧米の市内幹線道路にガードレールはほとんど見当たらない。日本では自転車の歩道走行が当たり前になっているが、欧米では歩道は歩行者のための道路であるとの意識が徹底しており、自転車が通行する場合は、下車している。最近、日本でも自転車をあらためて軽車両と位置づけて車道走行を原則とし、自転車レーンの整備を行い始めたが、その距離はまだまだ不十分であり、また設置したところでもなぜこの場所に設置したのか、疑問に思うものが多く見受けられる。日本では警官が平気で歩道を走行している光景をよく見かけるが、これは、日本において、自転車の乗り方・ルールの教育はこれまで全くされていない証左である。自転車で幹線道路を走行した経験のない役人が政策を立案しているため、多くの矛盾に気づいていない。等の説明があった。
参加者からは、「道路交通法が如何にいい加減なものか認識した」「クルマ脳(クルマ優先の考え)の視点に気づかされた」「目からうろこが落ちたような印象」「できれば生徒にも聞かせたい講演だった」」などの声が寄せられた。