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Traffi-Cationトップページ > Traffi-Cation 2019 夏号(No.51)

【特集】“ドローン配送”はドライバー不足解消の切り札となるか

取り組みの成果

  当初狙いとしていたことに関しては、概ね手応えを得られたようです。

  • ドローンが作業の効率化に寄与するものであること
    (ドライバーの手間を省く手段としては有効)
  • 安全性を含めてドローン運行のノウハウを蓄積すること
  • 安定的な運行実績の積み上げにより信頼性を高めること

 ドローンの取り組みは今年度も続いており、日本郵便では新たなテーマを設定し、実績を重ねていく予定です。

 ただし、取り組みを通じては課題も残ったようです。具体的にお聞きしました。

今回の取り組みで判明した課題

電波環境の改善

 ドローン物流普及のためには、電波環境改善が不可欠です。
「小高い山などがルートの途中にあると、カメラの映像を送ってくる通信が途絶することがあります。今回の取り組みではルートの途中に電波を中継するバルーンを上げていました。そのバルーンが風に飛ばされてしまうことがあり、強風の日は飛行を中止していました。ドローンの問題というより電波の問題です。 現在、映像伝送には5.7GHzの電波帯を使用していますが、基地局と安定した通信ができるよう、携帯電話の電波帯など商業通信網の使用ができるようになれば良いと思っています。実験的に携帯電話の電波帯を使用した際は非常に安定した通信を確保できました」

 ドローンが携帯電話の電波帯を使用するようになると、現在使っている携帯ユーザーの通信品質が劣化するなどの課題があるそうですが、それを防ぐ機能を取り入れて実験をしたということで、その普及が望まれます。

ラストワンマイル対応に要する認可手続き

 今回は郵便局間での運行でしたが、日本郵便では将来的には配達場所に直接届けられるようになることをめざしています。しかしその認可を取得するには多くの手続きが必要なため、その簡素化・簡略化が求められます。

 「もし一戸一戸それぞれに届けたい場合、現状ではそれぞれのルートごとに申請し、国土交通省の承認を受けることになります。従ってラストワンマイルの課題はやはり残るのです。現状ではそれこそ山の中に一軒ポツンとあるようなお宅でしたら、ドローンの機能が発揮されると思います。ひとつのルートを複数機が運行できるようなオペレーションができれば良いと思います」

搬送重量の制約

 今回は積載重量が2kgでしたが、実際の規制も今後の展開を考えると、実用的でないという思いもあるようです。

 「国土交通省の『審査要領』では、小型無人航空機の最大離陸重量は25kg未満です。郵便局のゆうパックは30kgまでですから、ドローンを十分に活用できる重量制限ではありません」

その他(プライバシー、安全性等)

 今回の取り組みでは顕在化しなかったようですが、カメラを装着し、低空を飛行するため、プライバシーの侵害に対する住民の懸念は大きく、その払拭は大きな課題です。

 さらに、安全管理、騒音問題や飛行時間帯等も普及に向けての課題です。

ドローン配送が普及するには

 現時点では実用化に向けた課題は多岐にわたっています。課題解決のためには、ドローン事業者による関連諸技術の開発・経済的合理性の担保、それを支えるための政府による効果的な施策(助成・補助、法整備等)が欠かせません。

 今回の日本郵便の取り組みを例にすると、飛行中のドローンのカメラ映像を通信する電波環境については、ドローン事業者が総務省と携帯電話事業者との調整を求め、ラストワンマイル対応に要する認可手続きについてはルートの一括申請ができるように働きかけるなど、普及に向けた活動なしには前に進みません。

 政府のロードマップに沿って、課題を一つひとつクリアするための具体的施策が実現され、現代の物流改革の一翼をドローン配送が担う可能性が高まることに期待したいものです。

議論しよう

 ドローンによる物流と<表1>に示した取り組みも合わせて、次のような議論をしてはいかがでしょうか。

  • ドライバー不足への対応策として、自分の住む場所あるいは学校周辺ではどのような手段が有効か。
  • 輸配送効率化のためにドローンが自分たちの町に導入されるとしたら、具体的にどのようなことを望むか。

 

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